急性胃炎ってなに?

胃粘膜に炎症を伴った状態を胃炎と言います。
急性という言葉が頭についているので、短期間で胃炎に至ったものと考えてください。
短期間に発症した胃炎を総称して急性胃粘膜病変(Acute Gastric:Mucosal Lesion: AGML)といいます。
難しい言葉ではありますが、簡単にいうと「胃の粘膜が荒れて、ひどい状態」です。
肌で想像すると、ひどいしゲカを負ってしまった状態です。
ケガをした皮膚は液が出て、一部分から出血もあります。周囲の皮膚もむくみや赤みを伴います。
これが胃に起こっている状態が急性胃粘膜病変です。
聞いていると、少しお腹が痛くなってきましたか?

急性胃粘膜病変の定義は?

急性胃粘膜病変の定義は明確ではありませんが、過去の論文から「突発する異症状を伴い、内視鏡などの検査により胃粘膜に異常初見を認める病変」とされています。1)
またこれらを簡単にいうと、出血や潰瘍がある胃の状態と言えるのではないでしょうか。

胃炎は何が原因でなるの?

胃炎になったと言われると、「ストレス」を想像する方が多いのではないでしょうか。
ストレスが胃炎を引き起こすことはありますが、みなさんが想像しているよりもストレスによる胃炎はそう多くありません。
薬剤による胃炎が全体の50%であり、そのうちの半数が痛み止め(NSAIDs)によるものです。
年齢層別では若い場合はストレスによるものが多く、高齢者では上記の通り薬剤によるものが多く見られます。
高齢の方は何かしら痛み止めを内服してことが多く、それらを慢性的に内服していることが影響していると思われます。
必要のない薬剤を服用しない、必要なければ中止することが必要だと考えます。

胃炎とストレスは本当に関連があるの?

では本当に胃炎がストレスと関連があるのでしょうか?
人によりストレスの感じ方が異なるので、一言にストレスというとイメージがつきにくいかと思います。
では人が強いストレスを感じる状況はどういったものかというと、大きな手術や大きな傷を負った状況です。
大きな心臓の手術や広範囲に及ぶ火傷(熱傷)、交通外傷、他の疾患により全身状態が悪くなった状況などがこれに当たります。

文献によりますと、広範囲の熱傷を受けた患者さんでは37%に、全身状態が悪い状況での患者さんでは約46%に消化管出血を認めたという報告があります。2)
大きなストレスを受けた時に胃への影響は計り知れず、症状が出た時には胃潰瘍、十二指腸潰瘍がすでにできている状況であることも稀ではありません。

どんな検査を受ければいいの?

胃痛、胃の不快感を感じられた場合は、すぐに受診してください。
現在では胃カメラの検査を行うことで、胃の状況を確認することが可能です。
診断をつけてからお薬を内服することが重要で、当院では当日に内視鏡検査を行うことが可能です。
少しでもお腹の不快感を感じた時には当院にご連絡ください。

    1. 河合啓市 :急性胃病変の臨床―胃出血の面から、胃と腸 8:17,1973
    2. 房本英之 :急性胃粘膜病変、日本内視鏡学会雑誌 31:36,8,2005